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続いてお伺いしたいのですが、職場など周りの人にできることがありますか?
周囲にできることは、まず男性更年期障害について知って理解をしていただきたいです。 男性更年期障害に苦しむ人は、時として傍からは見えない(わからない)症状を訴えてきます。
人は、見えないことやわからないことに、不安感や不信感を覚えます。 そうなると、不調を訴える相手に対し、
• わがままを言ってる。
• 自覚がない。
• 自分に甘い。
• 根性無し。
などなど、批判的な感情が生まれてきます。
そして、その感情が態度だったり、言葉だったりに現れ、相手を苦しめます。 そして、どんどん相手は孤独していきます。 病気に苦しみ、そして孤独にも苦しむことになります。 何事もそうかもしれませんが、理解されないことは辛いですからね。
ですので、先ずは男性更年期障害について知って、理解をしていただきたいと思います。
知る事、理解する事で、大部分の不安感や不信感は払拭されると思います。 その上で、相手に対して何ができるか、どう行動すべきかを考えていただけると嬉しいですね。
昨年、厚労省が「更年期症状・障害に関する意識調査」を行いました。 目的は、次の通りです。
1 更年期における健康課題や疾患の予防・健康づくりへの支援の在り方を検討すること
2 更年期症状等についての実態やリテラシー、受診状況や日常生活への影響、支援ニー ズ等を明らかにする。
今回の厚労省の動きが、更年期障害に対する社会的関心や理解につながるような、ムーブメントのきっかけならないかなと期待しています。
私は現在企業の人事部で産業保健の業務にも携わっているのですが、その観点から、毎年社員に義務付けられている定期健康診断等の血液検査項目に「ホルモン検査」が追加され ないかなと考えております。
例えば、40 歳以上の社員を対象に、男性ならテストステロン、女性ならエストロゲンを検査し て、年齢別のホルモン下限値を下回ったら、産業医のジャッジに基づき、治療等につなげて いなどの仕組みが考えられます。
省令改正や、検査機関のキャパ・スキーム、社会保険料など、いくつかのハードルはあるのですが、検討する価値があると思っています。 社会全体に波及するような施策を講じることで、更年期障害が原因で労働市場から退場を余儀なくされている労働力の経済的損失を回避できたり、昨今、社会問題化しているパワハラ撲滅にもつなげられる可能性があるのではないかと考えています。
最後に、男性更年期障害に悩んでいる方に向けてメッセージをお願いします。
男性更年期障害に苦しむ世代は、マッチョイズムという「常に強く男らしくなければならない」と いう謎の価値観に縛られている人が多いようです。 本来の自分ではない不本意な我慢を強いられ、それがストレスとなり、男性更年期障害を発 症していると考えています。「加齢」という要因もありますが、私見としてはストレスが主要因 のような気がしています。なので、苦しかったら我慢せず、
⚫ 弱音を吐いてください。
⚫ 泣き言を言ってください。
⚫ 弱気発言をしちゃってください。
そして、男性更年期障害であったとしたら、その事をちゃんと受けとめてください。 まだまだ、自分が更年期障害とは認めたくない人が多いみたいです。 男性更年期障害に向き合うことから、ちゃんとした治療がスタートすると思います。 また、幸いにも、まだ男性更年期障害になっていない方は、ぜひ「自分も男性更年期障害に なるかもしれない」という意識をもって、普段からセルフケア(予防)に努めてください。
男性更年期障害に限らず、病気やケガは、治療よりも予防に、自身のリソース(時間、労力、 お金)を割くほうがいいですよ。発症してからの治療になると、さらに「苦しみ」が伴いますからね。
↑ 男性更年期障害体験談を動画で見る
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教えてくれたのは…
科野辰也さん
1971年生まれ。3年ほど前から原因不明の体調不良(不定愁訴)が顕著に現れる。ホルモン検査の結果、男性更年期障害の診断を受ける。現在はテストステロン補充療法や漢方薬療法、生活習慣改善のセルフケアで、男性更年期障害の改善を目指している。
また企業の人事部に所属し、健康管理部門の責任者として、社員のフィジカル(身体)、メンタル(精神)のセルフケア及びラインケアをサポート。その傍ら、自身の更年期障害の経験を活かし、SNS(Twitter)やblog(50代男性の更年期blog)で、男性更年期障害を中心としたメンズヘルスに関する情報を紹介している。
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